また、今回のチャンピオンである田津原理音。カードの開封動画をもとにしたネタだったが、彼がもともとやっていたのはフリップ芸らしい。決勝のネタは、そのフリップをカードに変えた形である。これもまた、従来のフリップ芸をブラッシュアップしたものと言えるかもしれない。

 にしても、準備の手の込みようが目を惹いたネタだった。ネタではオリジナルのカードを大量に作っているわけだけれど、そのカードにあわせてオリジナルのTシャツも作っていたりする。カードはキラキラ光るタイプになっていたり、めくれる形になっていたり、ホログラムのような加工が施されていたりする。カードのパッケージもバーコードや問い合わせ先などが印刷され、細かいところまでそれっぽい。お金もそれなりにかかってそうだ。

 先述の『桃色つるべ』では、おいでやす小田がピン芸についてこう語っていた。

「僕は特殊なタイプじゃないですか。ずっとピン芸人でやってて、漫才で出てきたタイプやから、余計に思います、いかに過酷なことをしてたんやっていう。ひとりで出ていって笑かすことの異常性。いま改めて俯瞰で見直したら、とんでもなく効率悪いことやってる」