◆「今、やる気がしない」ってのは、だいたい雑になってる

――ここでは、やる気を起こそうとしても「足を引っ張りがちな心理」について説明してもらいつつ、悩める研修参加者たちが事前に提出した相談に答えてもらえましたら。

春日:「足を引っ張りがちな心理」として、「『雑な振る舞い』モード」ってのに注目してみたいんだけどね。ちょっと事前質問のですね、「プライベートでの悩み編」の一部を先に見てみましょう。8番から12番まで、まとめて読んでいただけますか。

春日武彦氏
――はい。では、事前に集まった質問ですが、

「⑧漠然(ばくぜん)とした虚無感・不安感との付き合い方」

「⑨人生が停滞しているように感じたときにはどうすべきか」

「⑩日常で『楽しい』と感じることがほとんどありません。『楽しい』という感覚を取り戻す方法、あるいは『人生の暇つぶし』としてオススメの方法を教えてください」

「⑪コロナ禍になってから、気持ちがすっかり不安定になってしまった。以前のように心に安定を取り戻すにはどうしたらいいのか」

「⑫コロナ禍で人と会うことも少なくなり、独り暮らしで大した趣味もないので、毎日が索漠(さくばく)としてしまいます。救いはあるんでしょうか」

春日:はい。こういうのってさ、どれも心の解像度(かいぞうど)が非常に低下してるっていうか、画素が粗(あら)っぽくなってて、だから精神状態が雑になってるんだと思う。雑になるとさ、投げやりになったり、詰めが甘くなったり、自己嫌悪に陥ったり、無敵になったり、不安になったりする。

 だから、心の解像度をどう上げるかということなんだけど、そうなるとね、とにかく目の前の仕事とか家事とか整理整頓など、あえて丁寧にゆっくり心を込めてやる。そうするとその結果としてささやかな達成感とか満足感、あるいは忘れていた感覚っていうのが呼び戻されて、きめ細かで充実した日常が蘇(よみがえ)って、やる気スイッチもオンになってくるというふうなことがある。「まずは丁寧に目の前のことをしろ」っていうね、ある意味当たり前といえば当たり前の話になってくると思うんですよね。

「今、やる気しねえんだ」ってのは大体、雑になってるんだからさ、そこはね、部屋を片付けるみたいなのも含めて、「丁寧に、まずは手近なもんからやってみろ」っていうことになると思うけどね。