◆改めて恐れ入った冨永愛の吉宗様っぷり
これまでの「修羅の道」のごとき大奥の空気が一変した吉宗編は、コメディ的要素を随所に差し込み、中心に立つ吉宗その人もカラっとして、原作よりもかなりのチャーミングさを感じさせ、冨永愛の魅力を生かしている。それにしても立ち姿が様になるだろうことは、端から分かっていたが、これほどまでに吉宗役がハマるとは恐れ入った。
五代将軍徳川綱吉を演じた仲里依紗も、時代劇はこの『大奥』が初だが、10代から主演も多かった仲は、俳優活動の初期といえる『純喫茶磯辺』(2008)のころには、すでにその巧さが光っていた。綱吉のすばらしさには驚かされたが、その実力からは予想されたことでもあった。
冨永は、これまでに俳優の仕事もしてはいるものの、やはりイコール、トップモデルの人。それが初めての時代劇、将軍役である。本作における吉宗との親和性とともに、セリフ回しを含めた、それらを表現する力、魅せる力の高さに改めて驚いた。