◆テレビより会場の方がより面白く感じられるネタかもしれない
<それから、本人のキャラクターも良かったですね。
ややオタクっぽく見えるところが、ネタの内容にマッチしていました。
台本がいくら面白くても、似合っていないことをやってしまうと、思うようにウケは取れません。ネタは、コンビでもピンでも、基本的には「脚本」「演出」「出演」すべて自分でやるものです。しかし、それにプラスして、実は「キャスティング」も非常に重要なんです。「自分がこの役に合っているかどうか」を見極めるセンスも大切です。田津原さんは、そこも完璧でした。
そして、あの人懐っこそうな笑顔。田津原さんは、ネタ中、観客に向かって喋っていました。
普通はあの設定であれば、完全に1人コントにして観客の方を向かずに配信者として演技すると思います。しかし、田津原さんは半分漫談のような形で見せていました。ここは賛否両論分かれそうなところです。けれども、あの無邪気な笑顔でその問題を軽々と飛び越えていきました。楽しそうにネタをやっている姿は、R-1ぐらんぷり2011で優勝した佐久間一行さんを彷彿(ほうふつ)とさせました。
賞レースにありがちですが、「2位の方が面白かった」という意見がどうしても出てきます。それ自体は見た人の感想なので、否定されることではありません。
しかし、今回の田津原さんのネタは、テレビより会場の方が、笑いが多く生まれていると思います。テレビではどうしてもモニターのアップの画面が多くなってしまいます。けれども、出たカードに一喜一憂している田津原さんのリアクションも楽しめるポイントになっているはずです。そういう意味では、きっと、会場で見た方がより面白く感じられるネタだったかもしれません。>