――今作は“半割れ”と呼ばれる、時間を置いて2回巨大地震が起きるというシナリオでしたが、それを聞いた時にどのように思いましたか?
仁村 「恥ずかしながら、“半割れ”という現象自体をこのドラマに参加してから知りました。巨大地震を想像しただけで絶対にパニックになると感じているので、あらためてこういうドラマやドキュメンタリーを見て、正しい地震の知識を付けていただけたらいいなと思います。気象庁で働くあかりとしては、臨時情報などを出すことへの難しさを感じました。情報を一つ出すことで被災地への支援が遅れることがあるし、救援隊が動きづらくなるという影響があるんです。だけど、臨時情報を出すのは本当に人命に関わる大事な情報で、すごく大切なことなんです。そういう認識を受け手の私たちがあらためて学んでいけたらいいと思います」
松尾 「僕も仁村さんと一緒で、“半割れ”という言葉を今回初めて知りました。すごく大きな地震が来るであろうことは理解していたんですが、このドラマでは西に地震が来た後、東に地震が来るんです。“半割れ”のシナリオを想定した時の被害の大きさが、思っていた以上のものでした。実際はそれがどういうふうな形で来るか分かりませんが、とにかく想像した以上の被害が出ることを頭に入れておかないといけない。とにかく大変なことになるのは間違いないので、少しでもその意識を皆さんが持ってくれることが大事で。何もかもが通用しないかもしれませんが、覚悟があるのとないのでは全然違うと思います」
仁村 「知っているのと知っていないのでは、絶対に次につながる行動が変わってきますよね」
――年の離れたきょうだいという設定で、共演シーンが1回もなく、電話でのやりとりしかないことにやりにくさはありましたか?
仁村 「私は難しかったです」
松尾 「僕は難しくはなかったんですけど、同じシーンがなかったのが残念で。仁村さんがちょっと前に僕の出身地である尼崎が舞台のドラマをやられていたので、勝手に妹のように思っていました。また、本読みと顔合わせの時に初めてお会いして、隣で声を聞いた時に『いいな』と思っていたので、余計に面と向かって芝居をするシーンがなかったのは残念でした」
仁村 「ありがとうございます。私も同じ気持ちです。私は離れて暮らす家族がちゃんとできているか心配でした。それを全部電話のシーンで表現しなくてはいけなかったんです。録音した松尾さんの声や、お母さんの声を聞きながら電話をするシーンを演じるのですが、お互いの息を吸うタイミングなどを合わせていくのが難しかったです」
松尾 「離れているもどかしさは、もしかしたら、かなり出ていると思います。後編で、伝言ダイヤルを使うシーンがあるんです。存在は分かっているけど、有事の際にどういうふうに利用するのかパッと分からない人が多いと思うんですが、それがドラマの中で表現されているんです。伝言ダイヤル以外にも、避難の仕方や避難グッズなどの知識もいろんなところに散りばめられているので、そういう点でも見どころはかなりあります」