◆わたしは「図々しくもいろいろなことをするタチ」

©2023 高山真・小学館/「エゴイスト」製作委員会
――最近、俳優としての活動が増えたように思いますが、今回オファーが来た際の心境はいかがでしたか?

阿川:TBSの日曜劇場『陸王』に出て以来、ドラマや映画の演技の仕事をちょくちょくいただくようになりました。今回は母親役だったので、面白そうだなと思いました。ただ、監督とプロデューサーがわたしをなぜ起用してくださったのか、その期待に応えられるのか、そこは不安でしたね。

――決め手は何でしたか?

阿川:わたしは図々しくも多岐に渡っていろいろなことをするタチで(笑)、やらないと決めているものもいくつかありますが、基本的には一緒にやる人が魅力的だなとか、面白そうだなとか、そう感じると、つい引き受けちゃう傾向があるみたいです。もちろんその仕事の中身が興味深いものであることは前提条件ですけれど、たとえばタッグを組む人が素敵だなと思うと、その人に学びたい気持ちが大きくなるんです。

――まずは、出会いを大事にしたいこだわりがあるのですね。

阿川:ただ、始めてからわかることもたくさんあります。週刊誌の連載も30年もやっていると、担当編集者も16回くらい代わり、だんだん息子、娘のような年になるんです。最初から年下ではありましたけどね(笑)。仕事のやり方はそれぞれですし、性格も全員違いますが、最終的に面白いものを作ろうよと、そこに向かう気持ちが一致していれば、仕事ってやる気が湧いてくるものですよね。

もちろん1、2回お会いしただけではわからないこともたくさんありますが、私が仕事を引き受ける条件は何かと聞かれたら、一緒にタッグを組む人たちが、一緒にいいものを作ろう、面白いものを作ろうという気持ちが近い人とタッグを組みたい。仕事の内容が違っても、それはむしろ、知らない世界だからこそのぞいてみたいという気持ちになります。