◆『エゴイスト』監督は「魅力的な撮り方をする」

©2023 高山真・小学館/「エゴイスト」製作委員会
©2023 高山真・小学館/「エゴイスト」製作委員会
――『エゴイスト』はドキュメンタリータッチの撮影方法なので、とてもリアリティーがある作品でした。

阿川佐和子(以下、阿川):監督がカメラ一台でドキュメンタリータッチで撮るとおっしゃったので、わたしのような演技の経験が浅い人間にとっては助かった気がします。本当の自分の家の台所のようにたたずみ、息子の大事な友だちが来ちゃって「麦茶出さなきゃ」とか、本気でオタオタしてました(笑)。それを一台のカメラが追いかけてくれる。監督もきっちり台詞を言うことより、役どころの気持ちを大切にしてくださったので。魅力的な撮り方をする監督だなぁと思いました。

――今作では宮沢氷魚さん演じる龍太の母親・妙子役でしたが、撮影現場はいかがでしたか?

阿川:難しかったけど、楽しかったです。用意されるお惣菜も美味しくてね。「出汁は何ですか?」なんて、あとで小道具係の人に聞いたりして(笑)。とにかくスタッフひとりひとりが素晴らしかったんです。カメラの池田(直矢)さんも、多分ものすごく肩がこっていらしたと思うけど。一台でしたから。