最後に、この複雑で奥深い物語を見事に脚色したのが森下佳子。NHKでは戦国時代を舞台に女領主・井伊直虎(柴咲コウ)の半生を描いた大河ドラマ『おんな城主 直虎』を手がけているが、将軍という立場に置かれた女たちの生き様を描く『大奥』に、森下の作風は見事にハマっている。

 また、森下の出世作といえばSF時代劇の『JIN-仁-』(TBS系)である。現代の脳外科医が幕末にタイムスリップする『JIN-仁-』も、史実を下敷きにしたSF時代劇で『大奥』との共通点は多い。特に第2シーズンで描かれることになる、赤面疱瘡の治療法を求めて日本中の医師たちが奮闘する姿を描く「医療編」は『JIN-仁-』とも重なる要素が多いため、期待が高まる。

 とにかく見どころが多く、様々な視点から楽しめるのが『大奥』の魅力である。

 260余年にわたる架空の江戸時代の歴史を、歴代女将軍の物語を通してリレー形式で描く『大奥』は、大河ドラマを超える壮大なスケールの歴史ドラマだ。