◆父・竜雷太の毒親っぷりがエグい
さて、森下佳子による脚本は、20年近く前にスタートしたよしながふみの原作を、現代にチューンアップさせている。『大奥』では“世継ぎ”に関する争いが続くが、第7話では、女性の「生理」に関する部分に大きな変更があった。執拗に妊娠、出産を求め続ける桂昌院に、綱吉は「私、すでに月のものがないのでございます」と告白する。すると、桂昌院は一瞬の逡巡もすることなく「ほな、なおのこと神仏にすがらんとあかん」と返した。原作では、桂昌院を哀れと思う綱吉が、女の身体を理解していないだろう父に、月のものがないとはっきりとは伝えない。ドラマでは、理解していない父が、そのうえで、娘をさらに傷つける。
桂昌院の中には、自分を拾ってくれた有功への思いと自分自身のことしかない。「わしはなんのためにお前をもうけたんじゃ!」と。相手を切りつける言葉を平気で放つ人は、相手が血を流していることに露ほども気づかない。これまでも、そしてこのあとも桂昌院は、徳子を切りつけ続ける。