だが、その葛藤を前にして秋元は、真面目な性格を振り切って当時の乃木坂46には不在だった“あざとキャラ”としてのポジションを確立させていく。今や、山下美月(3期生)や一ノ瀬美空(5期生)など乃木坂46にはあざといキャラクターのメンバーはいるが、14年当時の乃木坂46には全面的にあざといキャラを押し出しているメンバーはいなかった。秋元が乃木坂46におけるこのポジションのパイオニアと言ってもいい。
秋元のあざといキャラが明るみになったのは、14年放送の『乃木坂って、どこ?』(テレビ東京系)での「秋元真夏は腹黒い裁判」での出来事。温和な白石麻衣(1期生)をキレさせて「黒石さん」を発動させるという番組史上屈指の名場面でもあり、これ以降、秋元は自身のキャラクターを武器にさまざまな方面で活躍していく。
21年3月に開催された『乃木坂46 9th YEAR BIRTHDAY LIVE ~1期生ライブ~』では、齋藤飛鳥によるプロデュースで、可愛過ぎる猫耳・猫語で「Out of the blue」を歌うなど、乃木坂46の中での秋元の立ち位置は確立されている。最近でいえば、楽天生命パークで開催された楽天vsソフトバンク戦の始球式に登場した秋元が、ホームベース側ではなく、バックスクリーンのほうを向いて投げようとしてしまうという天性の愛され力も話題となった。
そんな中で、ファンの間でも深く記憶されているのが、同じ1期生の西野七瀬とのわだかまりである。秋元が『制服のマネキン』で八福神に選ばれた結果、3rdシングル『走れ!Bicycle』で七福神に選ばれていた西野が3列目へと後退。これ以降、2人は険悪な関係になってしまい、14年に開催された『乃木坂46 2nd YEAR BIRTHDAY LIVE』での一幕で西野が秋元に送った「真夏おかえり。一緒にがんばろう」という“雪解け”の言葉を発するまで、口もきかなかったというエピソードは有名だ。