そして何より注目してもらいたいのは、脚本を務める高田亮氏の存在。高田氏といえば、『裏アカ』(20)や『さがす』(22)、『グッバイ・クルエル・ワールド』(同)の脚本担当で、実は『クレヨンしんちゃん 激突! ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』(20)の脚本家でもある。そこでも感じたのが、異質な者同士の共存関係を描くことの巧みさだった。

 今作においても、高田氏の脚本力が存分に発揮されたといえるだろう。ぜひ、物語の構成力に注目して観てもらいたい。

【ストーリー】
若くして小説家としてデビューするも、その後は鳴かず飛ばず、遂には結婚を前提に同棲中だった恋人にも去られ、鬱屈とした日々を送る慎一(山田裕貴)。そんな彼のもとに、職場の先輩で友人だった邦博の元妻・裕子(松本まりか)が、幼い息子アキラを連れて引っ越してくる。慎一は恋人と暮らしていた一軒家を、離婚して行き場を失った2人に提供し、自身は離れのプレハブで寝起きするのだという。「迷惑をかけて申し訳ない、家が見つかったらすぐに出ていくから」と慎一に詫びる裕子。だが、恋人の去った家に一人暮らすことを重荷に感じていた慎一は、親子が部屋を使ってくれることにどこか安堵していた。こうして始まった、彼らのいびつな「半同居」生活はどこへ向かうのか……。