聞くところによると、『どうする家康』同様に古沢良太さん脚本となる映画『レジェンド&バタフライ』は、織田信長とその正室である濃姫の物語で、「桶狭間の戦い」で信長が見せた独創的な今川義元奇襲作戦も、斎藤道三から戦術指南を受けた濃姫の立案という設定なのだとか。『どうする家康』も、考証スタッフの意見に左右されず、己が描きたいものを描きたいように描く脚本家・古沢良太さんの独断場となっていきそうですね。

 次回・第5回「瀬名奪還作戦」も、時代考証関係者のボヤキが聞こえてきそうな内容になりそうです。公開された「あらすじ」によると、「元康は、駿府に捕らえられている瀬名(有村架純さん)を取り戻そうと決意。家臣たちの反対を押し切り、イカサマ師と呼ばれ嫌われている本多正信(松山ケンイチさん)の妙案に望みを託す。正信は、伊賀忍者の服部一党を使い奪還作戦を立てるが、頭領の服部半蔵(山田孝之さん)は過去の失敗ですっかり自信を失っていて…」となっており、日本史に詳しい方なら「えっ!?」と驚くことでしょう。

 史実の家康は、今川家とゆかりの深い鵜殿長照(うどの・ながてる)という武将が父子で守る難攻不落の上ノ郷城(かみのごうじょう、現在の愛知県蒲郡市)を巧みに攻め落とし、鵜殿父子の生け捕りに成功しました。そして、人質交換という形で今川氏真の捕囚となっていた妻子を取り戻したと伝えられています。

 ここで家康が選択したのが、「夜討ち」という奇襲作戦で、それを主導したのが「忍び」と呼ばれる人々だったということは重要なポイントです。