VTRは、小峠を下から捉えた映像に「夜中明かりが灯る不夜城を小峠が飲み廻る記録」とテロップが入った画面から唐突にはじまる。小峠は手持ちのカメラで自身を写しながら歩いているようだ。右上のワイプには、MCの東野幸治らの顔が写っている。

 映像のなかの小峠は「ごきげんよう、酒場決まった?」と誰かに話しかけられる。それが誰なのか、どこかの店の人なのか、説明は一切ない。そもそも小峠がどこを歩いているのかもわからない(VTRも中盤になって、ようやくここが大森であることが会話とテロップで告げられる)。

 その後も、説明は最小限に抑えられる。「この店いいなぁ」と小峠が入ったのは、高架脇にある店。横の席のサラリーマンらしき人たちが、誰かの噂話をしている。それを聞いているのかいないのか、小峠は店内におかれたパイロン(三角コーン)を見て「いいねぇ」とつぶやく。

 なるほど、「夜中明かりが灯る不夜城を小峠が飲み廻る記録」とテロップが出ていたように、これはあくまでも“記録”である。もちろん小峠が1人で行動しているわけではない。小峠がカメラを持った姿を捉えた画面もある。ただ、映像はまるで小峠が趣味で撮影した“記録”であるかのように、あまり整序されない形で(というか、あまり整序されてない形に見えるように整序されて)お届けされている。だから何か事件が起こるわけではないし、いつの間にか誰かが同席していたりもする(しばらくして後輩芸人であることがわかる)。