◆お鈴廊下の鈴が「シャン、シャン!」と心を切り裂く
心を失くした綱吉は、仮面をつけて男たちの前に立ち続ける。お鈴廊下の鈴が「シャン、シャン!」と心を切り裂き、廊下の奥に綱吉が映る。本作の照明のすばらしさには前にも触れたが、第6話もすごかった。「そなたの命など、わたしの心ひとつじゃ」と右衛門佐に扇をピシャリと当てたシーンでの光と影などもそうだが、この真っ暗闇の中、花魁のごと姿でひとり孤独に涙をためて立つ姿は、ハッとするほど美しく、そして苦しかった。
続く褥の時間。綱吉は恋仲にあるふたりを呼び、目の前で「むつみ合うてみよ」と要求。ひとりが耐えられずに自らの腹を切ろうとしたとき、右衛門佐が止めに入る。そして右衛門佐が発した言葉に綱吉が反応した。
その要求は“辱め”だと。「人前でむつみ合えと言うは、辱めにございましょう」と。
さて、第6話放送時、綱吉のいわゆる濡れ場のシーンが幾度も映し出され、その激しさに「NHKでこれを!?」「挑戦的!」と話題になった。そして番組公式Twitterでは、本作が、NHKが初めてインティマシー・コーディネーター(ヌードやキス、セックスなどインティマシー(親密な)シーンにおいて、制作側の意図を十分に理解した上でそれを的確に俳優に伝え、演じる俳優を身体的・精神的に守りサポートする役割)を導入した作品となったことが説明された。