2月7日、バイデン大統領は一般教書演説の中で、債務上限引き上げ問題で米国がデフォルトに陥る事態は招かないと強調し、議会に上限引き上げを呼び掛けたが、交渉が進展する気配すら見られないのが現状だ。

 これまで米国債がデフォルトに陥ったことはない。デフォルトが引き起こす影響の大きさを考えれば、最終的には両者が歩み寄り、債務上限の引き上げが行われると楽観視する向きは多い。だが、米国債がデフォルト直前まで債務上限の引き上げ交渉が難航すれば、世界中の各市場は大きく動揺するだろう。

 前述の財政資金が枯渇する当日まで債務上限引き上げ交渉が難航した11年には、米格付け機関のスタンダート&プアーズが米国の長期発行体 格付けを最上位のAAAからAA+に格下げた。債務上限の引き上げ交渉がデッドラインに近づくとともに、投資家の警戒感が高まり、米国株式市場は15%以上も下落した。米国債は一時的に急激な売りにより、価格が大幅に下落し、利回り(長期金利)は急上昇し、為替相場ではドル安・円高が進行した。