直近では、オバマ政権下の11年がそうだった。米国では法案成立には上下両院での可決が必要だが、当時、与党民主党が上院で過半数、野党共和党が下院で過半数を占める“ねじれ議会”となり、オバマ政権と野党共和党が債務削減案を巡って対立、議会での債務上限引き上げ法案の交渉が難航した。交渉が合意して債務上限が引き上げられたのは、財政資金が枯渇する当日で、米国債はデフォルト寸前の危機的状況に陥った。

 22年11月の中間選挙で、共和党が下院の多数派を獲得、上院ではわずか1議席差で与党民主党が過半数を守ったが、上下院で“ねじれ議会”となっている。このねじれ議会は11年よりも議会の対立が激しく、米国債がデフォルトする可能性は11年よりも高いと見られている。

 新議会招集後の下院議長の選出が共和党保守強硬派議員の反対で難航し、15回もの投票が行われたことは日本でも大きなニュースとして取り上げられたが、下院議長に就任したケビン・マッカーシー議員は、債務上限の引上げを政治問題化している。

 米国では24年の大統領選挙を控え、共和党が新型コロナウイルス対策を含め、大きく膨れ上がった歳出に対して、債務上限の引き上げと引き換えに社会保障費やメディケア給付などを含めた歳出削減を求めており、ねじれ議会とともに債務上限の引上げの大きな障害となっている。