債務上限に達すると原則として新規の国債発行が禁止されるが現在、米財務省は公務員退職・障害基金の国債購入停止や為替安定化基金への投資停止などの特別措置を発動し、緊急避難的に米国債のデフォルトを回避している。

 イエレン長官はこれらの特別措置と財務省の手元資金、4月15日に予定される連邦税収を合わせれば、6月中旬までは債務返済や歳出を継続することができるとしている。つまり、米国債がデフォルトに陥るデッドラインは6月中旬ということだ。

「債務上限」は米連邦政府が借金できる上限額を指す。米国では議会が政府の借入額を決定する権限を持っており、議会が決めた債務上限額の範囲内で財務省が国債などを発行して、資金調達(借り入れ)を行う。

 米国では債務上限の変更は毎年のように行われており、いわば“年中行事”のようなものだ。第2次世界大戦後から現在までに債務上限は102 回変更されている。ところが、稀に議会での債務上限引き上げ協議が“暗礁に乗り上げ”、米国債のデフォルト危機が現実味を帯びることがある。