悪役を主役にする、非ディズニー的作品に挑んだイルミネーションの賭けは大成功。製作費6900万ドルの小作品は、世界中で5億ドルを稼ぎ出した。この大ヒットでイルミネーションは、ディズニーやピクサーに匹敵するアニメーションスタジオに成長する。
イルミネーションの成功は、興行というビジネス以上のものを業界にもたらした。なにしろ当のディズニーが『眠れる森の美女』の悪役をメインに張った『マレフィセント』『101匹わんちゃん』の悪女をタイトルロールにした『クルエラ』、ディズニー悪役たちの子供が出てくる連続ドラマ『ディセンダント』といった悪役を主役にした作品をリリースするようになったのだから! 絶対、『怪盗グルーの月泥棒』の影響だよね?
もちろん『怪盗グルーの月泥棒』には悪と正義を逆転させただけではない魅力もある。
グルーは悪党で子供嫌い、施設から引き取った三姉妹を月泥棒のために利用しようとしているだけだが、懐かれると情にほだされて三姉妹との生活を楽しむようになる。せがまれて遊園地に連れていき、三姉妹が射的ゲームの兄ちゃんが嫌味で景品を渡さないとなると、立腹したグルーは大火力の銃でゲーム場ごと吹っ飛ばす! 大喜びの三姉妹にグルーは、まんざらでない笑顔を見せるのだった。
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