ベネデッタとバルトロメアの関係は愛情と憎悪が激しく入り混じるもので、それこそ「百合」ものとして尊い。それでいて、宗教をビジネスとしてしか捉えていない修道院長や、欲にまみれた教皇⼤史など、わかりやすい悪党もいる。

 一方で、単純な善と悪では計り知れない“業”を抱えた者もいる。そのような豊かな人間模様と、それぞれの力関係が急激に変わっていく様が、「いったいどうなるんだ?」とハラハラドキドキさせるサスペンスとして大いに楽しめるのだ。

 さらに大サービスと言えるのが、大掛かりなクライマックス。具体的にどういう展開になるかは秘密にしておくが、エンタメに振り切った「見せ場」も楽しみにしてほしい。