キリスト教の聖餐式では、イエス・キリストの肉と血を模したパンとぶどう酒を信者たちは口にすることになる。カニバリズムを文化的に捉えると、飢餓を満たすためだけでなく、呪術性や宗教的な意味合いを持ったケースが古くから存在する。この映画のクライマックスにも、壮絶さを極めた聖餐式が用意されている。
安住の地はどこにも約束されていないマレンとリーだが、それでも2人は必死で生き抜こうとする。ティモシー・シャラメ演じるリーの神々しさが目に焼き付く。生きること、愛すること、食べることの切実さを描いた本作は、「現代の神話」と称したい。
『ボーンズ アンド オール』
監督/ルカ・グァダニーノ 脚本・製作/デビッド・カイガニック
出演/テイラー・ラッセル、ティモシー・シャラメ、マーク・ライランス
配給/ワーナー・ブラザース映画 R18+ 2月17日(金)より全国ロードショー
©2022 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.
※日本語版原作小説『ボーンズ・アンド・オール』は早川書房より発売中
warnerbros.co.jp/bonesandall