◆周りの友だちと比べて自分は…「ときどき友人と会うときも、話すことが何も思い浮かばなくなり、つまらない人間になっていく実感は、本当に苦しかった。私が教団で苦しみもがいているあいだ、友人たちは仕事で着実にスキルアップしたり、家庭を持ったり、より豊かになって人生のコマを進めている。なのに自分は、机上の空論だけが得意な薄っぺらい人間に成り下がっていく恐怖。あれは忘れられませんね」

教えを理解しない外界は人生の落伍者であるとして、関係を断つように指導されるというが、Kさんの語る恐怖のように、外界との落差を見るのがつらくなり、接触を断つ人もいそうだ。「トラウマを解消する技術」を求めて教団へ入信したKさんは、逆にそれ以上のトラウマを植え付けられる結果となった。

「教団にいると必然的に外部との付き合いを断ち切るような生き方になるので、周りと比較する機会も減り、必要な苦しみから逃げることができ、そのときはある意味幸せだった。教えイコール幸せへの道、と常に教えられていましたが、支部長のもとにいる信者が幸せだったかどうかと聞かれれば、いまでも疑問です」