◆仲里依紗×山本耕史による視線バチバチがたまらない
そしていよいよ山本耕史演じる、京からやってきた切れ者・右衛門佐の登場である。綱吉の御台所・鷹司信平(本多力)の御中臈(おちゅうろう)として大奥に上がるや、上様へのお目通りを願うのではなく、「上様は大奥で与えられた男たちに飽きているご様子」「こちらへ狩りに出ていただきましょう」と仕掛ける。
綱吉との出会い。孟子と論語を媒介に、右衛門佐と綱吉がバチバチに視線と言葉を交えたが、右衛門佐は「上様は、実は学問もいたくお好みだそうで」とリサーチ済みだった綱吉に対して、「思った以上に出来る方だ」と測ったというよりは、彼女の機知に、素直に驚き感心していたように映った。また、右衛門佐は、実は生き抜くために学を身に着けてきており、当然、大奥に関しても諸々調べ上げている。その行動は、切れ者、曲者、姑息とも映れば、さらに奥を見ると、相手を知る、寄り添う一番の方法なのである。つまり右衛門佐は、綱吉であり徳子を、誰よりも理解できる可能性を持った人物なのだ。
役目は人を生かすと教えた第5話。しかしやはり強く縛り付けもする。家光は将軍として立ちつつ、千恵としても燃え尽きたが、犬公方としても有名な綱吉はどう生きるのか。第6話では、綱吉の一人娘・松姫を悲劇が襲う。
<文・望月ふみ>
【望月ふみ】
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi