◆時代劇初挑戦の仲里依紗、ド派手な着物で圧倒的な存在感

時代劇初挑戦の仲里依紗、ド派手な着物で圧倒的な存在感
(C)NHK
「没日録」を読む吉宗とともに、私たちも、“当代きっての色狂い”こと五代将軍・徳川綱吉公の世へ。社会は女性たちが回し、人気の役者・市川團十郎も女性である。そして現れた仲里依紗演じる綱吉の煌びやかなこと! 芸歴20年を超える仲は、その演技力への評価も高いが、意外なことに時代劇は本作が初となる。だが色とりどりのド派手な着物を着こなし、負けないどころか、綱吉(女性名、徳子)のパワーに変えていてさすがだ。

“能”のシーンが非常に美しかった
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 しかし自由気ままにふるまっているようでいて、綱吉もまた、世継ぎを生むことにがんじがらめにされている人。そんな綱吉が、大奥の外に「狩り」へと出かけた際の“能”のシーンが非常に美しかった。女性の地謡、お囃子のもと演目「小鍛冶」が、プロの能楽師によって舞われた。撮影には綱吉時代の能面師による、本物の貴重な能面が使われたとのこと。また「小鍛冶」は“相槌を打つ”の言葉を広めたとも言われ、綱吉と息を合わせる人、さらには“刀”というキーにおいても、柳沢吉保(倉科カナ)にかけているように思われた(※桂昌院・竜雷太とのシーンに登場した刀傷には、あるエピソードがある)。

 また、能のシーンでは炎が使われたため殊更目立ったが、本作では陰影を強調した映像が印象を残す。たとえば第2話でも、有功が素振り1000回を成し遂げ、道場の中央で果てた際の、闇に覆われたかのような演出が見事だった。