闇の世界ではありふれたこの「合理化の産物」が、公共の場所でいきなり見つかれば、米国でも騒ぎを引き起こす。
米南部で昨年夏、フェンタニルを包んだ折りたたまれたドル紙幣がたびたび、公共の場で発見された。これが「拾うな!危険」というアラートに発展し、全国的な話題となった。
テネシー州ペリー郡内で5月末、2カ所のガソリンスタンドで固く折りたたまれた1ドル紙幣が1つずつ見つかった。共に床に落ちていた。地元保安官事務所が調べたところ、フェンタニルと覚醒剤の粉末が包まれているのがわかった。
ペリー郡のニック・ウィームズ保安官はこの事件を受けて、自身のフェイスブックのアカウントに「非常に危険だ。子供たちに、紙幣を見つけても拾わないよう言い聞かせてくれ」と書き込んだ。紙幣を拾った子供たちの手にフェンタニルが付着し、鼻や口、目などから体内に入ったら、健康に甚大な影響を及ぼしかねない。ウィームズ保安官には子供がいて、書き込みには父親としての正義感が強くにじんでいた。このため、書き込みは多くの市民の共感を呼んだ。
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