第4回までは信長(岡田准一さん)と家康(松本潤さん)の関係がBLっぽいと腐女子界隈がざわめいたようですが、第5回の見どころは、往年の時代劇を彷彿とさせる「ニンジャ」たちの登場でした。伊賀の忍びたち「服部党」の集合までのシーンについては『ライオンキング』みたいだと指摘する声もあったようです。さらに次回からは、服部党を率いていた「大鼠」(千葉哲也さん)の死去に伴い、その娘が「女大鼠」(松本まりかさん)として活躍するようです。「女大鼠」は「父を継いで忍者集団を束ねる。体が柔らかいことを生かし、どんな場所にも忍び込み、町娘から遊女、武士までどんな人物も演じきる変装の達人」というキャラクターだそうで、昭和の時代劇でセクシー担当だった女忍者「くのいち」が、令和の世の「大河ドラマ」で華麗なる復活を遂げることは確実と見てよいでしょう。
個人的にはこういうノリは、史実がわりと細かい部分まで判明している徳川家康でやるより、『おんな城主 直虎』のような作品で大胆にやってほしかったとは思いますが。次回も忍者がすごい高さまで飛んだり跳ねたりするアクションシーンがあるのなら、もうちょっとワイヤーアクション(?)の精度が上がっているとよいですね。第5回は「あまりの安っぽさに思わずのけぞった」という声もあったほど、チープでしたから……。
そういうわけで、『どうする家康』が「歴史ドラマ」ではなく、エンタメ性重視の「時代劇」を目指しているのなら、あれこれ史実との違いを指摘するのは無粋になってしまいますが、歴史エッセイストとして、今回も少し情報を補足させていただきます。
「忍者」が「にんじゃ」と呼ばれるようになったのは昭和30年代のことで、それ以前は「しのびのもの」と呼びました。「服部党」も夜討ちのときだけ黒装束という設定になっていましたが、史実では忍びの者たちが通称「忍者服」と呼ばれる黒尽くめの装束をまとうことはなかったとされます。