──歴史エッセイスト・堀江宏樹が国民的番組・NHK「大河ドラマ」(など)に登場した人や事件をテーマに、ドラマと史実の交差点を探るべく自由勝手に考察していく! 前回はコチラ

※劇中では主人公の名前はまだ「松平元康」ですが、本稿では「徳川家康」に統一しております。家康に限らず、本連載において、ドラマの登場人物の呼び方は、原則として読者にとってなじみの強い名称に統一します

 『どうする家康』第5回は、「家康が今川氏真に捕らわれた正室の瀬名と子どもたちを取り戻そうとした」という大筋以外、ほぼすべてが創作のいわゆる「ファンタジー時代劇」で、かなり驚かされました。脚本もさることながら、忍者まわりの描き方を筆頭に演出のクセも強いドラマだという声が筆者の周辺で上がり始めています。「大河ドラマ」はフィクションではあるが、あくまで史実をベースとした「歴史ドラマ」であって、時代考証無視のチョンマゲ・エンタテインメントの「時代劇」ではない、というこれまで我々が抱いていた常識は、本作『どうする家康』で覆されてしまったようです。確かに良くも悪くも話題性に富んだ内容ではあると思います。筆者の記憶ですが、月曜日になってもTwitterのトレンドに『どうする家康』がランクインしていました。それが作品としての本当の意味での“成功”につながるのかどうかは、今後の展開次第といえるでしょうが……。