社宅に住んでいる人の中には「住宅が無くなるから仕事を辞められない」と悩んでいる人もいるかもしれません。しかし、社宅に住んでいても仕事は辞められます。
一般的には退職後に引っ越すこともできますが、転居先の確保などをした後に退職した方がよいでしょう。
社宅に住んでいる人が会社を退職する際の流れについて解説していきます。
退職したら社宅はいつまでに出ていかなければならないのか
会社を退職した後は、すぐに社宅を出ていく必要はありません。
会社を辞めたから「即日で退去せよ」と言われることはまずないでしょう。しかし、社宅は会社が従業員の福利厚生のために格安の家賃で用意しているものです。会社としても退職した元社員をいつまでも社宅に住まわせておくわけにはいかないので、一般的には退職後に居住できる期間には期限が設けられています。
会社によって異なりますが、一般的には退職から1〜2週間程度の猶予があります。退去期限については、就業規則などの社内規定を確認したり総務部などに問い合わせたりしてみましょう。
ただし、退職した後に会社の元同僚や上司に社宅で会うのは気まずいならば、退職前や退職と同時に社宅を退去できるように、先に転居先を確保しておいた方がスムーズでしょう。
社宅を退去する際に原状回復義務はある?
社宅を退去する際には原状回復義務がある場合があります。
国土交通省によると、原状回復義務の定義は次の通りです。
「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」
出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」
つまり、通常の使用によって部屋が汚れた程度であれば原状回復義務は生じませんが、不注意で重いものを床に落として床に穴が開いてしまったようなケースでは、原状回復義務が生じる可能性があります。
原状回復義務が生じるかどうかについては、借り上げ住宅か社宅かによって対応は異なります。
・借り上げ住宅の場合
借り上げ住宅の場合は、会社が借主となって民間の賃貸住宅を借りるので、退去の際の原状回復やクリーニングにかかる費用などは原則的に会社へ請求されます。
しかし、通常の退去にかかる以上の費用が発生した場合は、その費用について会社から請求される可能性があります。
・社宅の場合
社宅の場合にも、借主の故意や過失によって損耗・毀損が生じれば原状回復にかかる費用を社員へ請求する可能性はあります。
しかし、借り上げ住宅のように民間の賃貸物件ではないことから、そこまで部屋の状態を厳格にはチェックされず、多少の損耗・毀損があっても費用請求されることなく退去できるケースもあります。