第1話では、直木の働くレストランが月に一回「子ども食堂」を開いていたことがわかるのだが、第3話では、直木と両親の関係がうまくいっていないことが明らかとなり、家族の問題が物語の根幹にあることがわかってくる。

 本作は緩急が極端で、悠依と直木の甘いやりとりにうっとりしていると、次の場面では残酷な現実を視聴者に突きつけてくる。この緩急は、脚本を担当する安達奈緒子ならではのバランス感覚だ。

 2022年に連続テレビ小説『おかえりモネ』(NHK)が高く評価された安達は、現在もっとも面白いテレビドラマを書く脚本家の一人である。月9で放送された『リッチマン、プアウーマン』(フジテレビ系)のような、お仕事モノの恋愛ドラマを手がける一方で、『透明なゆりかご』(NHK)や『サギデカ』(同)のようなハードな社会派ドラマもこなす安達は、シリアスなテーマと甘い人間ドラマを両立させることで、独自の作風を打ち立ててきた。

 NHKでのドラマがシリアスな社会派に傾くのに対し、民放で書くドラマは甘い部分のあるラブストーリーに寄せることが多い。TBSで書かれた『100万回 言えばよかった』は後者の作品に思えたが、物語はシリアスな方向に傾きつつある。