物語の舞台となるのは、小さな町・銀平町に昔からある映画館「銀平スカラ座」(ロケ地は川越スカラ座)。この劇場で映画を観て育った男・近藤猛(小出恵介)が、無一文状態で帰ってきた。

 どこにも行き場のない近藤に、「銀平スカラ座」のお人好しの支配人・梶原(吹越満)が手を差し伸べる。劇場でバイトとして働き始める近藤だった。

 劇場には変わり者たちが、次々と現れる。売れない俳優の渡辺(中島歩)、売れないミュージシャンの白川(黒田卓也)、映画が大好きな中学生の川本(小鷹狩八)、自主映画を上映したいと懇願する新人監督の谷内(小野莉奈)……。

 ひときわ強烈なのは、ホームレスの佐藤(宇野祥平)だ。劇場に置いてある映画のチラシを1枚100円で売るセコい佐藤だが、生涯ベストワン映画に『カサブランカ』(42)を挙げるなど、深い映画愛の持ち主でもある。

 そんなダメダメな人たちが映画に注ぐ愛情に触れ、近藤は少しずつ生きる気力を取り戻していく。