ラテンアメリカへの中国の進出は2000年以降、急速に広がった。ラテンアメリカの輸出先としては2%に満たなかったが、貿易量は爆発的に増え、2021年には金額ベースで4500億ドル規模になった。南米だけで言えば、現在の最大の貿易相手国は中国だ。中米などを含めたラテンアメリカ全体では、米国に次ぐ2番目の貿易相手国になった。2035年までには7000憶ドル規模まで貿易量が増えるとの予想もあり、ラテンアメリカは中国の「裏庭」になってしまった印象さえある。
ただ、ここ数年、中国経済の減速が目立つようになってからはラテンアメリカ投資に陰りが出てきた。西側の反転攻勢も強まっている。ドイツのショルツ首相は先月末、南米を訪問し、チリ、アルゼンチンの首脳からリチウム開発での関係強化を取り付けた。リチウム争奪戦は中国が入手した「手駒」を、いかにひっくり返すか、という戦いになっている。