「ちゃんと観てよ!」と言いたくなることもある

ーー先ほどホラー映画が怖いか否かだけが評価軸になりやすいという話がありましたが、確かにジャンルとしてひとくくりにされすぎる傾向があるかもしれませんね。

清水 ホラーが苦手な人、絶対無理ですという人こそ、勝手なイメージが固まってるかもしれませんね。「人がいっぱい死んで血まみれ」というものもあるし、そういうのもいいけど、いやいや、そういうのばかりじゃないから、とは伝えたいです。基本はバカにされたり差別されたりで、偏見があって当然なのが、実はこのジャンルかなと思いますね。エロティックな路線の映画もそうだと思います。

ーー偏見が生まれやすい土壌があるからこそ、作り手は多様性を意識する必要があるかもしれないですね。

清水 ホラーがベースにあって、ジャンル分けされるからこそ、ホラーでないと描かれないテーマや、アプローチはあるとは思います。でも、「苦手だから観ない」と言われて、「無理にでも観て」とも言えないですよね。僕も中学生の時には、ホラーは苦手でしたから。

 でも、自分の村シリーズにも、初めて劇場で観た、試写で観た、という方の中に「ホラーの見方が変わりました」や「こういうホラーもあるんですね」「怖いのに観たら感動して泣いちゃった」「なんですかこの気持ち。こういうホラーがあるんですね、他のホラーも見てみようと思います」といった感想をいただいたりはします。元々ホラー好きでもなんでもない、むしろ苦手な人から、そういう言葉をいただけるのが一番嬉しいですね。それが自分の映画じゃなくても、あの人の心の内の何かを開いたと思える。その瞬間が一番嬉しいです。