そして、ついにはポカリスエットのCMソング(imase with PUNPEE&Toby Fox「Pale Rain」)を手掛けるまで至った。昨今は、メジャーになるまでのスピードがとみに早い。ネット発信でバズれる時代ならではの速度だと思う。巣ごもりの日々が音楽に還元されたわけだ。

 逆もまた、言えると思う。新曲の拡散力は、たしかにすごい。しかし、サブスク全盛の今、多くのリスナーは曲の消費(聴き捨て)に慣れてしまっている。この状況で、若いミュージシャンが生き残るのは至難の業だろう。彗星のように現れたとしても、彗星のように消える可能性も高いのだ。ミュージシャンにとって、可哀想な時代とも言えると思う。

 そんな中で目を引いたのは、押しも押されぬメジャーバンド、サカナクションの8位へのランクインだ。イメージとして、このバンドはずっと売れている印象がある。さらに、「ショック!」は映画『ルパンの娘』の主題歌だった。メジャーの貫禄をこれでもかと発しまくっている。

 面白いのは、この曲のリズムである。明らかに、トーキング・ヘッズとじゃがたらを想起させるのだ。加えて、「ショック!」という歌詞はいかにも、いしわたり好み。ついでに言えば、6位の今市隆二「辛」も、いしわたりが好きそうな歌詞だ。というか、まるで秋元康の歌詞みたいに聴こえてしまった。三代目 J SOUL BROTHERSのメンバー・今市まで、気だるいチル系の曲を歌っているのも興味深いし。やはり、2022年はそういう流れだったのだろう。