音楽性の拡張ぶりが最初に頂点を迎えたのは2001~2002年だろう。レゲエビートを前面に打ち出したシングル「ひとひらの自由」(‘01)。デジタルロック的なアレンジを中心に、各曲さまざまなキャラクターを持つGLAY流のビートルズ『ホワイトアルバム』的な大作『ONE LOVE』(‘01)。そこからわずか10カ月後にリリースされた、R&B~ゴスペルに通じるアレンジも含む『UNITY ROOTS & FAMILY,AWAY』(‘02)。生ドラムとマシンビートの使い分けや1曲内での併用はますます巧みになっており、結果としてギター2人を要するロックバンドとしては異例の幅広いテイストを取り入れることに成功している。

 もっとも、2002年にはブレイク前後のGLAYらしいバンドサウンドを聴かせる「Way of Difference」「またここであいましょう」などもリリースされている。こうした回帰的な作風は当時の集大成的なメジャーデビュー10周年記念作『THE FRUSTRATED』(‘04)に繋がるが、一方で同作には東京スカパラダイスオーケストラを招いたスカ・チューン「BLAST」など、明らかに新境地を思わせるナンバーも含んでおり、この『THE FRUSTRATED』をもって、以後のGLAY作品における「革新/保守のバランス」が確立されたように思える。

 GLAYの音楽的冒険が第二のピークを迎えたのは、キャリア初のセルフプロデュース作となった『JUSTICE』(‘13)だろう。長年GLAYを支えてきたプロデューサー・佐久間正英と制作した『GUILTY』と同時発売された作品であり、往年のオルタナティヴロックや、ファンク調、ストリングスを交えたエレクトロ要素のあるギターインストなどアレンジ面もさることながら、直近の作品群や『GUILTY』と比べてリバーブなどを抑えたような、ドライで隙間の活きた音作りが新鮮だ。なお、本作はTAKURO以外のメンバーの作品が10曲中5曲収録されており、メンバー4人の個性が大いに反映されたアルバムであるのも重要だ。