「寝たきり」とは“ただ眠っている”だけではない

yuzuka:自殺がきっかけで入院された患者さんについて、伺える範囲で、状態などを聞かせてください。

よしむら:多くは、首吊り自殺を実行した方です。首を吊った後、心臓がまだ動いている、もしくは止まってすぐの段階で家族や友人に発見されて、病院に搬送されて処置を受けたために、生き延びたという方が多いですね。

 その状態から蘇生が成功したとしても、蘇生後脳症、低酸素脳症などの重篤な状況に陥ることが多いんです。そうなってしまうと、僕のいるような療養型の病院に入院されることになります。年齢としては、10代の方が多かった印象ですね。

yuzuka:状況としては、いわゆる植物状態。意識が戻らない状態ですね。

よしむら:はい。はっきりと意識がある方がうちに入院されることは少ないので。

yuzuka:首吊りって、自殺の中でも成功率が高いといわれているんですよね。「確実に死ねる」と書かれているサイトさえあるんです。だから、他の方法と比べても実行する人が圧倒的に多い。だからこそ、よしむらさんの漫画に描かれていた、「一命は取り留めたが身体リスクを負った方は自損行為者総数の約60%」という数字に、私も驚きました。

 多分、死のうとする人たちの中には、そういった現実を知らない人がたくさんいます。もしくは失敗といっても、もう少し程度が軽いものを想像していたり、仮に「寝たきりになるかも」という思いがあったとしても、よくドラマなどに出てくるような、まるで白雪姫のように美しく眠っているような姿を想像している人が多いんじゃないかなって。だけど私は、その想像と現実にはかなりギャップがあると考えているんです。

よしむら:僕も同じです。