そんな悠依と直木のカップルに寄り添うのが、幽霊が見えてしまう刑事の魚住譲(松山ケンイチ)だ。魚住の協力によって、幽霊となった直木の存在を確信した悠依。それは直木の死を意味したが、「それでもいい、直木がいるって感じられるなら」と前向きになろうとしていた。一方、直木が行方不明になった1月13日の前日、高原涼香(近藤千尋)という女性が殺害される事件が発生していたが、高原のマンションの防犯カメラに直木が映っていたのを発見した魚住は、その情報を同僚に共有。直木が犯人ではと疑う同僚の田島(少路勇介)たちに、魚住は「この男の幽霊が見える」とおそるおそる打ち明けるが、田島からは怪訝な反応をされ、「見えるならさ、聞いてみろよ、『犯人はお前か!』って」と言われてしまう。
悠依は改めて魚住を呼び出し、警察に直木の捜索を依頼したいと願い出る。魚住は「僕の感覚では十中八九、直木さんは亡くなっていると思います。そして、直木さんについて調べていくと、今よりもっとつらい事実が明らかになってくる可能性があります。そのことを理解していただけますか」と確認する。直木と悠依の答えは、ほぼ即答でイエスだった。
高原涼香の事件のことが引っかかっている魚住はまず、直木本人に失踪した13日の行動について確認する。洋食屋ハチドリのシェフである直木は当日、店は臨時休業にして、昼に子ども食堂を開いたが、14時頃に子どもたちが帰ったあとの記憶がなかった。気づいたときにはすでに“幽霊”の状態で自室で寝ており、つまり直木の記憶には7時間の空白があった。手がかりを探してPCと同期していたスマートフォンのショートメールを開くと、未登録の番号から「待っています。何かありましたか?」というメッセージが当日の15時過ぎに届いていたのを発見する。誰と会おうとしていたのか尋ねると、直木は「言ってなくてごめん。尾崎莉桜、覚えてる?」と懐かしい人物の名前を出した。莉桜は20年前、悠依と直木が里親施設で暮らしていたころ、一時的に里親の広田夫婦のもとに預けられていた2歳年上の女性だった。しかしある日、突然いなくなったまま行方が分からなくなっていた。