ところで、私はお笑いを見ない。たまに覗いてみたりするが、全く笑えないからだ。
由利徹やコント55号の最盛期、やすきよを見ているから、面白くもなんともない。
したがって、M-1などは関心がないのだが、50歳と43歳のおっさんが王者になった時があったというので読んでみた。
錦鯉というコンビで、若いほうが渡辺隆、年上が長谷川雅紀。2021年のM-1で、7人の審査員うち5人が錦鯉に票を入れたというから圧勝である。
2人は、7人が投票を終えるまで待てずに抱き合って泣いたという。
2人がコンビを組んだのは、長谷川は40を超え、渡辺は33歳だった。コンビ名は、主催者から電話があった時、テレビで外国人が錦鯉を爆買いしているというニュースを見ていて、「じゃ、錦鯉でお願いします」といって決まったそうだ。
40歳を超えても売れない長谷川が札幌へ里帰りして、10年ぶりに母親の前でショートネタをやるドキュメンタリーがあるそうだ。売れない芸人の悲哀を残酷なまでに映し出した作品だったという。
結成してから2年が経ったが、まだ売れなかった。
長谷川のバカっぽさが観客に伝わっていなかった。そこで、彼に大声で挨拶させてみようと思い立ち、それから売れ出したそうだ。
2015年に復活したM-1に出て、連続して準々決勝で敗退するが、2020年にようやく決勝の舞台に立ち、翌年、王者になる。
厳しい世界であろう。涙の数だけ強くなれるといういものでもないのだろう。笑いというのは極めて個人的なものである。
同じギャグを聞いても、笑わないやつと笑うやつがいる。今のお笑いは声ばかり張り上げ、大仰な身振り手振りで、見ている者に笑いを押し付けるような気がしている。
錦鯉というのはそんなことはないのだろうか。一度聞いてみるか。