ネタのレビューは以上だが、番組全体を通して言えることは、正直ネタ自体のクオリティは「M-1グランプリ」や「キングオブコント」などの賞レースと比べるとどうしても見劣りしてしまう。しかし“即戦力”としてはこちらの大会に出場しているメンバーの方が明らかにクオリティが高い。しかもMCや先輩にいじられるのを前提とした「いじられると輝く芸人」の要素もふんだんに含まれており、すぐにでもバラエティ番組で活躍できるだろう。

 世間的には、賞レースを勝ち上がり、いずれ冠番組を持つであろう将来有望なエリート若手芸人の方が輝いて見えるかもしれないが、僕には一発屋で終わるかもしれないが、一瞬のチャンスを手に入れる為に己の才能を発火させ死に物狂いで爆発する若手芸人も同じように輝いて見える。

 確率は低いが手に入れたら間違いなく売れるチャンスより、売れるかどうかわからないが小さいチャンスに何度も巡り合える芸人の方が僕は売れる可能性が高いと思っている。そういった意味でもこの「おもしろ荘」という番組に出て、その後の機会を考えると、「M-1グランプリ」より堅実で「キングオブコント」より夢があるのではないだろうか。

 芸人運は売れる売れないで使うものでは無く、チャンスがどれだけ巡ってくるかに使った方が圧倒的に得である。実力さえあれば運はスパイス程度でしかないのだから。