8組目「ナイチンゲールダンス」・・・「セレクトショップ」

 ある程度経験を積んで、芸人としての立ち振る舞いを覚え、先輩も後輩も増えて、横の繋がりも広がり、そしてライブシーンでは少しずつファンがついて、若手中の若手から脱却し、自分たちの笑いに自信が出てきた時期をそのまま体現したようなコンビなのではないだろうか。

 これは決して悪い意味で言っているのではなく、ほとんどの芸人が通る道であり、これを乗り越えて一人前の芸人になっていくのだ。この時期の芸人はネタに対して特別頭を使う傾向にあり、ネタはぐんぐん面白くなっていくのだが、それに相反して自己プロデュース力が圧倒的に足りないものだ。「ナイチンゲールダンス」さんはまさにその状態で、ネタは勢いがあり、ネタが始まってすぐにお客さんが惹きこまれる。

 それに対して自己プロデュースがあまりうまくいっていないので、ボケの中野さんは、ボケの仕方と見た目が合っていない。風体とボケのシステムが合っていないと、違和感が生じてしまうので笑いが若干薄くなってしまうのだ。あれだけ可愛らしいボケをするのだから、見た目も可愛らしくした方が違和感はなくなる。そしてツッコミのヤスさんもこの時期のツッコミに多く見かける「自信が剥き出しになっているツッコミ」なので要注意だ。

 ヤスさんは喋り方や間の取り方、ワードセンスはとても良いのだが、そこに自我である「悪そうなやつ」といういらないエッセンスが入っているので、省いた方が良い。「悪そうに見えて良いやつ」という展開を考えているのなら、もう少し後でも良いかな。