中国のロウ・イエ監督は、中国当局と闘い続けているタフな映画監督だ。中国ではタブーとなっている「天安門事件」を扱った『天安門、恋人たち』(06)は、国の許可が下りないままカンヌ国際映画祭での上映に踏み切り、以降5年間にわたる映画制作禁止処分を喰らった。

 謹慎中も、中国ではやはりタブー視されている同性愛をテーマにした『スプリング・フィーバー』(09)をホームビデオで撮影し、こちらも上映禁止となった。謹慎明けに撮った『二重生活』(12)は表向きは犯罪サスペンスとなっているが、中国政府の「ひとりっ子政策」を揶揄したハードな社会派ドラマだった。