◆キューマの哲学

 第2話冒頭、キューマは元の世界ではバンドリーダーだったことがわかる。英国風アンダーグラウンド系の趣き(実際劇中でキューマが歌うのは英国のロックバンドの曲)を持つ彼のバンドがライブをする場面が描かれた。

 ではバンドリーダーだった彼がなぜ今際の国でキングとなってゲームを作る側になったのか。キューマは言う。これは国民と国民による「真剣勝負」だと。お互いの持ち点を奪い合う「すうとり」はシンプルなルールだが、その分人間の本来の姿に正直な仕組みになっている。実際ゲーム中のキューマが全裸を貫くのはそのためだ。

 ゲーム開始前、アリスはキューマにゲームに勝ったら元の世界に戻れるのか聞く。キューマは明確な答えは与えない。むしろアリスが戻りたいという元の世界が果たして真実の世界だったのか逆に問う。まるで古代ギリシア時代の哲学者のような問答法が展開される。

 裸でいることもキューマにとって自然に生きる真実の姿。ヌーディな肉体は理想的な彫刻のよう。まだ未熟なアリスにとってキューマの哲学がこの世界の真実を投げかけようとしているのだ。