4:『エンドロールのつづき』1月20日公開
映画を低劣と考える父親を持つ9歳の少年が、映画に心を奪われ、こっそり映画を見せてくれる映画技師の大人と交流をしつつ、友達と共にある作戦に挑む様を描く、インド版『ニュー・シネマ・パラダイス』と言える内容だ。しかも、監督自身の実話を元にしている。
インド・アメリカ・フランス合作で、歌も踊りもなく、説明を極力排して、少年期の思い出を丹念に綴る、どちらかといえばアート系の作品だろう。『RRR』のようなエンタメ主体のインド映画を観慣れていると戸惑うし好みも分かれるかもしれないが、その語り口こそが重要だった。また、本作と同様に映画監督本人の自伝的作品は、スティーブン・スピルバーグ監督作『フェイブルマンズ』も3月3日に公開されるので、合わせて期待してほしい。
木村拓哉が織田信長を、綾瀬はるかが正室の濃姫を演じる.。『るろうに剣心』の大友啓史が監督を、『コンフィデンスマンJP』の古沢良太が脚本を手がける。さらに総製作費20億円が投じられ、東映70周年を記念して送り出されるという、とてつもない布陣のビッグプロジェクトだ。その甲斐あって、作り手や役者陣の「本気」ぶりを隅々まで思い知らされる内容だった。
劇中では、最悪な出会い方をした信長と濃姫の関係が少しずつ、しかし着実に変化をしていく様が描かれる。そして、「魔王」と恐れられるほどの信長の暴虐ぶりも容赦なく、しかし「人間としての当たり前の感情」も同時に示される。とあるネタバレ厳禁の「攻めた」解釈と展開もあり、物議も醸すかもしれないが、それこそが最大の美点でもあった。168分と上映時間は長めであるが、それだけの贅沢な尺をもって、それぞれの生き様を映画館で体感することに意義がある。