2:『そして僕は途方に暮れる』1月13日より公開中
同名の舞台の映画化作品で、Kis-My-Ft2の藤ヶ谷太輔が「恋人から逃げて次々と知人の住まいを渡り歩いて人間関係を切り捨てていく」クズを熱演する、ほとんどブラックコメディと言っていい悲喜劇が綴られた作品だ。日本中を旅するロードムービーという共通点をもってして、ダメ人間版『すずめの戸締まり』という言い方もできるだろう。
映画館で観てほしい理由は、とある映画にまつわる「あるある」な言及があり、加えて映画館で観ているとより臨場感のある演出が施されていることだ。映画を観なれている人であれば、その優しくて、かつ良い意味での悪意も込められたメッセージをより「くらって」しまうはず。心抉られる映画体験をしたい方におすすめだ。
3:『ノースマン 導かれし復讐者』1月20日公開
父の復讐と母の救出を心に誓った青年を追う、バイオレンス北欧アクション大作だ。監督のロバート・エガースは『ウィッチ』や『ライトハウス』など、人間の暗黒面をグロテスクな演出で紡ぎ出す様が面白く、同時に人を選ぶ作家でもあると思っていたが、今回はその作家性を存分に出しつつ、シンプルな復讐譚かつ二転三転する作劇を備えており、(PG12指定相当の残酷描写以外は)万人が楽しめるエンターテインメントに仕上げてみせた。
映画館で観てほしい理由は、これまたシンプルに「バキバキに画がキマッている」こと。北欧の寒々しい風景、それにかぶさる過酷な出来事が、美しいと共により残酷に感じられる。驚くほどに大胆な「長回し」も、劇場のスクリーンで観てこその臨場感があるはず。後半からは「ここまでサービスしていただけるんですか?」と思うほどにさらなる見せ場も満載だ。