大御所になるとスタジオにいるタイミングが台本に書いてあるので、そのタイミング以外は楽屋で待機したりしている。ちなみに僕たち若手芸人は、自分たちの演目以外に「盛り上げ役」という役割も担っているので、楽屋で待機するタイミングはほとんどなく、ガヤとして終始スタジオに滞在し、ひたすら声を出し番組を盛り上げる。

 ただ何時間もスタジオで「よいしょ~!」とか「待ってましたぁ!」などと言い続けているので、芸人たちも段々飽きてきて適当な掛け声を発していることも多々ある。これはスタジオにいる若手芸人たちの密かな楽しみだった。

 僕たち芸人は実家の両親に対して、テレビを通して自分たちの元気な姿を見せられることが大変嬉しく、とても誇らしかった。

 今は『新春かくし芸大会』のような正月を代表するバラエティ番組で若手芸人が出演できるものが少なくなり、そのほとんどが『爆笑ヒットパレード』や『おもしろ荘』などネタ番組となってしまった。今もそれらのネタ番組に出られることはかなりのステータスであることは間違いないが、お笑いに興味がない人が見る番組ではない。