◆「ママみたいに怖い女の人になったら困るだろ~」
「夫は自分が悪いとは思っていないから、普段通り。これだけじゃなくて、子どもへの物の言い方にも私は日々、イライラしてる。数日前も長女が学校で男の子と言い争いになったことを話していると、『女の子なんだから、男の子には譲ったほうがいいなあ』と言うんです。
『そういう言い方はやめて』と思わず口を挟みました。男だから女だからという時代じゃないでしょ、と。すると夫は『ほら、ママみたいに怖い女の人になったら困るだろ~』って。離婚、という二文字が頭に浮かんだ瞬間でした」
これからの世の中で、男だから女だからと従来の性役割を押しつけるような子育てはやめようと話し合ったはずなのに。サトコさんは夫に抗議したが、夫は「話の流れでつい。ママみたいに怖い女の人というのは冗談だよ」とあたふたしていた。
夫と作る「家庭」が、娘たちにとって「いい家庭」になるのだろうか。サトコさんは言い知れない不安を抱くようになっている。
<文/亀山早苗>
【亀山早苗】
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio