「なかには『お前、誰やねん』というものもある。例えば、昨年出版された『こんなにバイトして芸人つづけなあかんか』(新潮社)は、偏差値70の超進学校→慶応卒で吉本興業所属、20年以上バイト生活だという40代の芸人・ピストジャムが書いたものでした。無名であることは本人が重々承知していますが、そのバイト遍歴が常軌を逸していることから、周囲からそそのかされたものらしいです。

 ぶっちゃけ、本を出したところでめちゃくちゃ話題になったり、いきなり売れたりするわけでもありません。労力に対して、儲かるとも言い切れないのが今の時代。正直、書店に行ってみれば、レジ前にうず高く積まれているのはYouTuberの本なので、無名芸人の本よりもYouTuberの本のほうが、書店的には“引き”がある、ということを突きつけられます。実際、YouTuberのヒカルが昨年9月に出した『心配すんな。全部上手くいく。』(徳間書店)は、累計25万部も売れたそうですから」

 ではなぜ、芸人は本を出すのか。そこには複合的な理由がある。