そのFlight-Aは、劇中のモデルとなった保見団地と同様に、住民の半数が日系南米人という静岡県磐田市の東新町団地で育った。プレス資料掲載の取材でFlight-Aは、「子ども時代?クソひでえ思い出しかないですよ。まあジャマ者扱いって感じっすね。悪いことは全部、オレらのせいにされましたから」などと、まるで「侵略者」のような差別と迫害を受けたことも話している。演じている役柄が、Flight-A本人の経験と密接にリンクしていると言っていいだろう。
そして劇中のライブシーンでは、GREEN KIDSのメンバーが総出演でラップとパフォーマンスを披露。しかも、その楽曲「脱獄」は、この映画『ファミリア』のためにメンバー全員で歌詞を書いており、やはり「この苦しい状況から抜け出して(脱獄して)やる」という強い反骨精神と意志が込められていた。
成島出監督も、「初めてGREEN KIDSの音楽を聴いたとき、その曲の奥にある本気かつ本物の怒りと悲しみがこの映画には必要だ、と思いました」「彼らが育った団地に行ってその空気を吸った瞬間、この映画の大きなもう一つのテーマが見つかったと思ったことを鮮明に覚えています」と、絶賛している。