1月6日より『ファミリア』が公開されている。

 実際に起きた事件などをヒントにした、いながききよたかによるオリジナル脚本を映画化したのは、『八日目の蟬』の成島出監督。共演は役所広司と吉沢亮という布陣で送り出される、骨太であるとともに共感しやすいサスペンスドラマ映画に仕上がっていた。

 本作で何よりも重要なのは、現在日本に約280万人いる外国人、中でも在日ブラジル人たちの事情にスポットライトを当てたことだろう。舞台のモデルかつロケ地になっているのは、実際に在日ブラジル人が多く住む愛知県の保見団地で、そのことが後述もする「まるでドキュメンタリー」のようなリアリティにつながっていた。

 物語そのものはフィクションであり、だからこその劇的な展開もあるが、同時に現実の「当事者」の姿を想像することにも本作の意義がある。さらなる魅力を記していこう。