フジテレビドラマの活況は、TVer、FOD無料・GYAO!などの無料配信プラットフォームにおける「広告付き動画配信(AVOD)」で“無双”となったことからも伝わってくる。2022年の年間のAVOD配信で、フジテレビは再生数がおよそ6.8億、ユニークブラウザ数が約4500万、総視聴時間が約2億9300万で、すべての指標で民放1位を獲得。クールごとでも、2022年度第1四半期(2022年4~6月)、第2四半期(2022年7~9月)、第3四半期(2022年10~12月)の3期連続で全指標1位だった。フジテレビは2022年4月より水曜22時にドラマ枠を復活させており、ドラマの作品数自体が増えている影響もあるが、『ミステリと言う勿れ』と『silent』の絶好調が大きいといえるだろう。フジテレビが運営する動画配信サービスFODの有料会員数は、2022年11月18日に100万人を突破したが、「『silent』の爆発的大ヒットが会員数増加を後押し」したと発表されている。
『silent』のTVer人気は、フジテレビ側がTVerを強く意識した戦略を取っていたことも大きい。視覚障がい者向けに音声解説を入れた「解説放送版」や、後追いの視聴者向けのダイジェスト版に加え、テレビ放送の本編で描かれていない「第4話エピソード0」や、主演の川口のインタビューなどを中心とした「ドキュメンタリー」全3章といったTVer独占コンテンツの配信、さらには川口ら出演者たちがトークする特別番組を最終回放送前日に生配信したりと、TVerへの施策は手厚かった。