7位 セイント・フランシス

 34歳の独身女性が、レズビアンの両親を持つ6歳の少女の子守りをすることから始まるドラマだ。主人公は周りとの社会での立ち位置や幸せの格差を気にしていて、しかも望まない妊娠をして、中絶という選択をする。その中絶自体は重い出来事としては描かれていないのだが、その後に生理の出血が頻繁に描かれ、明確に悩んでいるように見えなくても、中絶をした事実を何度も突きつけられるようでもあった。

 全体的な物語運びはユーモアも多くて軽やかだが、時おり子育てや人生の深淵を覗かせ、そして終盤では思いがけない優しい言葉に涙する、そんな重奏的な要素が積み重なっていた。自由奔放で普通にズボラなところもある主人公の姿はやや好みは分かれるかもしれないが、男女問わずに共感できる方もきっと多いだろう。人生に疲れてしまった、道に迷ってしまったという時に、ぜひゆったりと観ていただきたい。