5位 THE FIRST SLAM DUNK

 言わずと知れた大ヒットマンガ『スラムダンク』の劇場アニメ。原作者である井上雄彦が監督・脚本を務めたからこその、漫画の絵がそのまま動き出したような感覚、本物そのままのバスケットボールの動き、それらを3DCGならではの「空間」で表現したことで、劇中の観客と同じく固唾を飲んで応援する体験ができる、日本のアニメ映画としても、スポーツを題材にした映画としても、まさに革新的な傑作となった。

 原作では自称「天才」の桜木花道が主人公だったが、今回は宮城リョータという、原作では他キャラクターよりも比較的エピソードの掘り下げが控えめで、なおかつバスケではハンデになりやすい低身長ながらドリブルの力で活躍する選手を、実質的な主役として迎えたことに大きな意義がある。今回の彼の物語は、心に傷を抱え、それでもなおスポーツを心の拠り所にする点で、井上雄彦作品の『リアル』にも、前述したアニメ映画『バブル』にも通じている。その宮城リョータの視点を語ったことで、『スラムダンク』という作品が四半世紀の時を経て完成した、と言っても過言ではないだろう。